実務編

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1.平素の心構えと準備

1.企業の危機管理の問題として組織的に取り組む

暴力団等からの攻撃は、いつ、どこで、何を原因としてどんな形で発生するか予測がつきません。また、その対応を誤ると彼らに付け入る隙を与え、泥沼にはまるばかりか、企業の社会的責任を問われかねません。
したがって、企業においては、「暴力団からの攻撃は、企業にとって一つの危機である」との認識のもとに、平素から暴力団に対する対応方針を確立し、体制を整備しておく必要があります。

2.企業のトップが毅然とした対応方針を持つ

暴力団との対応において、肝心なことは、トップ自らが「暴力団からの不当な要求には絶対に応じない」という基本方針を確立するとともに、この基本方針を従業員一人ひとりに徹底しておくことが大切です。

3.組織全体で対応体制を整える

暴力団は不当要求のプロですから、これに対抗するためには、企業の側においても暴力団に適切に対応しうる不当要求防止責任者を選任するとともに、暴力団やそれらしい者からのアプローチがあった場合の対応方針及び手順、社内の報告、連絡要領等をあらかじめ定めておくことが肝要です。
また、応対の内容を記録するための各種機材の準備や暴力追放のステッカーやポスターを掲出するなど被害を受けない環境づくりにも配意しましょう。

4.警察および暴追センターへの通報・窓口を保持する

平素から警察や暴追センターの担当者等と連携を密にし、暴力団等に関する困りごとが生じたら、どんな些細なことでも早期に相談しましょう。
暴力団が最も恐れるのは、懲役等の刑罰であり、警察の取り締まりなので す。「表沙汰にしたくない」という事なかれ主義が被害を拡大します。

2.応対の基本的心構え

1.恐れずに毅然とした態度

暴力団と応対するうえで重要なことは、彼らをむやみに恐れることなく、毅然とした態度で臨むことです。
彼らには、「弱い者には強く、強い者には弱い」という特質があり、暴力団の不当な要求には屈しないという強い信念と対決する気迫を持って折衝にあたることが大切です。ただし、彼らは脅しのプロですから決して侮ってはなりません。

2.冷静にして根気強い応対

暴力団は、相手を愚弄し、あるいは挑発して失言を誘い、言葉尻をとらえて徹底的に糾弾し、無理難題を押し付けてきますので、挑発に乗らずに冷静に、かつ根気強く応対することが大切です。
また、暴力団は自分たちのメンツに必要以上にこだわり、一般人から馬鹿にされたりなめられたと思ったときは、暴力を振るうことがありますので、彼らを挑発することは危険です。

3.法律や社会のルールにのっとった解決

暴力団の応対では、水面下での解決を図ったり、逃げの姿勢をとらずに、法律や社会のルールにのっとった誰もが納得する解決を図ることが大切です。
世間の信用とか評判を気にして、彼らの言いなりに法外な金を出すのでは、暴力団に甘く見られ、引き続きターゲットにされるなど根本的な解決にはなりません。

3.具体的な応対要領

1.相手を確認する

初対面の段階で、名刺を貰うか面会カードに記載を求めるなどの方法で相手の氏名、勤務先等を確認すべきです。もし相手がこれに応じなければ、「名前も言えない方はお引き取りください」などときっぱり面談を断るべきです。

2.用件を確認する

当初の段階で、用件や要求の内容を確認することも大切です。
暴力団は、恐喝等の罪に問われることを恐れて、「誠意を見せろ」などといって要求内容を明示しない場合が多いので、「具体的にどうすればよいのですか」などと聞き返し、相手の要求内容と根拠を相手自身の口から明確に引き出すことが大切です。

3.相手より有利な人数や場所で応対する

暴力団は、脅しのテクニックとして、相手を恐怖、不安、困惑等の心理状態に追い込み、要求に応じざるを得ないようにするのが常套手段です。
そのため、面会の際には、相手より多い人数で応対するとともに、応対場所は、会社の管理が及ぶ施設内で応対しましょう。やむを得ず社外で接触するときは、人目の多い喫茶店、レストラン、ホテルのロビーなどを当方から指定するのがよいでしょう。暴力団の指定する場所や組事務所等に出向いてはいけません。
さらに、応対時間も可能な限り短くします。必要以上に長くなったら明確な意思表示により引き取ってもらいたい旨告げ、交渉を打ち切りましょう。

4.言動に注意する

暴力団は巧みに論争に持ち込んで、相手の失言を誘い、また言葉尻を捉えて因縁をつけてきます。不用意な発言をしないように慎重に言葉を選び、発言は必要最小限にとどめることが肝要です。
不当な要求には、あいまいな発言をしないで明確に断りましょう。暴力団の追求に窮してその場逃れに「検討します」などと相手に希望を持たせる発言をしたりすることは禁物です。

5.詫び状などの書類作成は拒否する

暴力団は「一筆書けば許してやる」等と詫び状や念書を書かせたがります。
これは、後日、彼らの交渉を有利にするための武器として使用されるので、絶対に応じてはいけません。

6.応対内容を記録化する

暴力団等との電話、面談による応対内容は、録音やメモにより、正確に記録化しておきましょう
この場合、事前に録音する旨告げて公然と録音等をすることが相手をけん制する上でも効果的です。

7.機を失せず警察に通報する

暴力団等が不法行為に及んだときは直ちに110番することです。
この場合、不要なトラブルを避け、受傷事故を防止するためには、暴力団に気付かれないように通報し、これをとがめられたら、「警察にそのような指導を受けている」と答えてください。

8.暴力団排除条項及び表明・確約書の文例

暴力団排除条項等(文例)

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