(愛知県弁護士会民事介入暴力対策特別委員会 弁護士 安江 正基 氏 )
「錦三」地区におけるぼったくり被害
名古屋市中区錦三丁目には、中部地方における代表的な繁華街である「錦三」地区があります。この錦三地区では、近時「ぼったくり」被害が数多く報告されています。
報道によれば、錦三地区の属する中区栄地区では昨年8月から今年8月までの間、料金トラブルに関し約750件もの相談が県警に寄せられていたとのことです。(平成27年10月4日付中日新聞朝刊掲載)
錦三地区におけるぼったくりの特徴は、その大半が客引きの誘いで入店して被害に遭っているという点にあります。また、最近は店の従業員ではない歩合制の客引き「フリーキャッチャー」が急増しているとのことです。(上記朝刊記事参照)
愛知県は、平成25年6月に県迷惑防止条例を改正し、風俗店などへの客引きだけでなく、錦三地区などの規制区域内において、いわゆる客待ち行為をすることも禁止しましたが、店への責任追及が及びにくい「フリーの客引き」が増えているのです。
「客引き・ぼったくり壊滅プロジェクト」及び被害対策弁護団の発足
錦三地区におけるぼったくり被害をなくそうと、愛知県警は今年9月17日に「客引き・ぼったくり壊滅プロジェクト」を発足させ、名古屋市内で注意を呼びかけるとともに、取り締まりの徹底を確認し合いました。 (平成27年9月18日付毎日新聞地方版)
県警は同プロジェクトで、客引きグループや悪質店舗への取り締まりを徹底するほか、チラシなどで注意喚起をすることになりました。 (上記毎日新聞記事参照)
また、県警における同プロジェクトの発足と時を同じくして、愛知県弁護士会民事介入暴力対策委員会に所属する有志の弁護士によって、「ぼったくり被害対策弁護団」も結成され、今後相談体制を整えていくこととなり、官民挙げて錦三地区の客引き・ぼったくり被害をなくす機運が高まっています。
ぼったくり被害に遭わないために
これから年末の忘年会シーズンにかけて繁華街に繰り出す方も多くなると思われますが、ぼったくり被害に遭わないためにはどうしたらよいのでしょうか。
まず最も重要なことは、上記のとおり、錦三地区でのぼったくり被害は大半が客引きの利用に伴うものだという事実を認識し、客引きを利用しないということです。出張してきたビジネスパーソンが土地勘のない繁華街で客引きを利用するという例も見られますが、客引きにとって格好の餌食です。繁華街に繰り出す前に店を十分にリサーチしましょう。
また、入店してからもよく料金体系を確認しましょう。店外で「セットで○○円ポッキリ」などと説明を受けていても、様々な名目で加算され、法外な金額を請求されることがあります。確認してもしすぎるということはありません。
そして、もしもぼったくり被害に遭ったことが会計の時点で分かったら、躊躇することなく警察に助けを求めましょう。払いすぎてしまった料金を取り戻すよりも、 そもそも支払わないで済ませることの方が被害を小さくできる可能性が高まります。
以上